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ベンチを元の角度に戻す数秒が、半年後の再依頼率を分ける理由

ベンチを元の角度に戻す数秒が、半年後の再依頼率を分ける理由

ジムに通っていると、ある種の観察対象として面白い現象に気づきます。インクラインベンチを使い終えた後、角度を元のフラットに戻して立ち去る人と、45度のまま席を立つ人。所要時間にして、わずか3秒程度の差です。ところが、この所作の差は半年後、まったく別の場所で数字となって現れることがあります。取引先からの再依頼率、という形で。

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「使い終わり」の定義が、その人の職業観を露呈する

ベンチの角度を戻す行為は、厳密には自分の得にはなりません。次にそのベンチを使う人は他人であり、感謝されることもまずない。にもかかわらず戻す人がいるのは、その人の中で「使う」という行為の定義が、自分の目的達成の瞬間で終わっていないからだと考えられます。

使用開始から、次の利用者が違和感なく使える状態への復帰まで。ここまでを一つの動作単位として認識している。この認知の枠が、そのままビジネスにおける「納品の定義」に反映されます。

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指導現場で観察された、二種類のクライアント

パーソナルトレーナー時代、セッション後に器具の位置やタオルの扱いをどうするか、これは意外なほど個人差が出る場面でした。興味深いのは、後片付けまでを自然に一動作として組み込むクライアントほど、契約更新率も高く、紹介による新規流入も多かったという傾向です。

因果関係の証明は難しいものの、相関としては明確に観察されました。おそらく、彼らは職場でも同じ振る舞いをしている。会議室の椅子を戻し、共有ファイルを整えて閉じ、メールの返信を「相手が次に何をすればいいか」まで含めて書く。

再依頼率という遅効性の指標

受注は営業力で取れます。しかし再依頼は、前回の取引の「終わり方」で決まります。納品物のクオリティはもちろんですが、それ以上に効いているのは、プロジェクト終了時に相手が「次にどう動けばいいか」がクリアになっているかどうか、という点だと私は見ています。

ファイルの命名規則、引き継ぎ資料の粒度、最終メールの一文。これらは自分の作業ではなく、相手の次の作業のための整地です。ベンチの角度を戻す所作と、構造的にはまったく同じ動作と言えます。

そして、この整地を自然に行える人は少数派です。だからこそ、再依頼率という数字で静かに差が開いていく。半年、一年というスパンで、営業しなくても仕事が戻ってくる人と、常に新規開拓に走り続ける人に分岐していきます。

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今日、あなたが最後に「使い終わった」ものは何でしょうか。それは、次に触れる誰かにとって、迷いなく使える状態になっているでしょうか。この問いに即答できるかどうかが、来期の受注構造を静かに決めているのかもしれません。より具体的な「終わり方の設計」については、noteで掘り下げています。

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