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ジムで着替えに30分かかる人が、新規事業の立ち上げにも半年溶かす理由

パーソナルトレーナー時代、私はある興味深いパターンに気づきました。ジムに到着してから実際にバーベルを握るまでに30分以上かかる会員様ほど、トレーニングの進捗が遅い傾向があったのです。同じ現象は、AI関連の事業相談を受ける現在の仕事でも頻繁に観察されます。「準備に時間がかかる」という共通点は、単なる性格の問題ではなく、構造的な逃避行動だと考えられます。

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「準備の準備」という巧妙な迂回路

ジムでの典型的な行動パターンを描写してみます。到着してロッカーへ向かう。スマホを確認する。ウェアに着替える。シューズの紐を結び直す。プロテインシェイカーを洗う。鏡の前でフォームを確認する。トレーニング日誌を開く。音楽のプレイリストを整える。

すべて「トレーニングのために必要な行動」に見えます。しかし冷静に観察すると、その大半は本来5分で済む工程です。残りの25分は、本番である高重量スクワットや限界反復から、無意識に距離を取るための儀式だと解釈できます。

負荷の高い行為に取り組む直前、人間の脳は回避経路を探し始めます。そして「準備」というラベルは、自分にも他人にも言い訳が立つ、最も都合のいい隠れ場所になるのです。

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事業立ち上げで起きる同型の現象

同じ構造は、新規プロジェクトの起動フェーズで顕著に現れます。市場調査を3ヶ月続ける。競合分析をスプレッドシートで整理する。ロゴを発注する。法人登記の形態を比較する。会計ソフトを選定する。Notionのワークスペースを美しく整える。

これらも、すべて「事業のために必要な行動」に見えます。ところが本質的な負荷──つまり、顧客に価値を提示して対価を得るという、断られる可能性のある行為──からは、構造的に距離を保ち続けています。

私が観察してきた範囲では、立ち上げに時間がかかる方ほど、準備フェーズの完成度が異様に高い傾向があります。逆に、走りながら考えるタイプの方は、初動が粗くても3ヶ月後には明確な数字を持っています。

本番の負荷を「定義」できているか

では、この迂回路から抜ける方法はあるのでしょうか。私が現場で有効だと感じているのは、「本番の負荷とは何か」を最初に言語化する作業です。

トレーニングにおける本番が「限界の1レップ」であるように、事業の本番は「最初の課金顧客との対峙」です。ここを曖昧にしたまま準備を始めると、人は無限に準備を続けられてしまいます。

逆に本番を定義した瞬間、準備にかけてよい時間の上限が自動的に決まります。今やっている作業が本番から自分を遠ざけているのか、近づけているのか。この問いを定期的に挟むだけで、行動の質は大きく変わると考えられます。

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あなたが今、新規プロジェクトのために行っている作業は、本番への接近でしょうか。それとも、本番から自分を守るための上品な迂回でしょうか。準備の完成度を上げ続けている自分に違和感を覚えた方は、note の深掘り記事で「初動設計のフレーム」を整理していますので、よろしければご覧ください。

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